「編集者をむしばむ無力感について」
かれこれ15年間、編集者とライターの仕事をしている。フリーランスになってからは12年目だ。だが、日々、情報を発信していくなかで、これでいいのだろうか、と思うようになった。
「PV数」「重版」「ギャラ」といった数字の絡む言葉にとらわれて、自分が、誰に、どのような目的で、何を伝えたいのかを見失ってしまっていたのだ。
「自分の発信している情報に、意味や価値はあるのだろうか」
「自分のつくっているものは、読者に届いているのだろうか」
それが、わからなくなった。その先に待っていたのは、無力感だ。
ただ、ひたすら、雪かきをするかのごとく制作をこなす毎日――自分は、編集者として、ふさわしくないのではないか。ほかの編集者は、どのような思いで仕事と向き合っているのだろう。それが知りたくなった。
人によっては、答えのわかりきった馬鹿馬鹿しい企画に見えるだろう。血迷っていると思われてもいい。それでも、自分の信頼している人たちに話を聞いて、答え合わせをしてみたかった。
煙草で一服している時、「迷いを抱えながらでも進むしかない」と、一連の撮影を担当してくださった池田さんは言った。この「編集者をむしばむ無力感について」は、それを体現した企画だ。
同人誌のような個人サイトとして立ち上げた「東京黎明ノート」。僕は、2011年に「情報の空白地帯を埋める」と、鼻息荒く、このサイトをリリースした。更新が止まってから約7年。すっかり重たくなってしまった一歩を、また踏み出すことにした。
ささやかな灯として残しておいた、このサイトを「Tokyo Reimei Note」として、再び更新していく。
石川裕二
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■最終更新日2022年7月1日