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FEATURE —特集—

【編集者をむしばむ無力感について/#5 岡めぐみ】周りによろこんでくれる人がいるなら、それだけでいいんじゃないかな。

写真=池田宏
取材・文=石川裕二

岡さんが取締役社長を務める株式会社vivace(ヴィヴァーチェ)は、僕が大学卒業後に入社した編集プロダクションだ。根性なしの僕は1年で根を上げて同社を退職してしまったが、本取材の打診をするにあたって、岡さんは快く取材を引き受けてくださった。私の編集者としての原点とも言える会社の社長は、一体、何を考えながら、編集という仕事と向き合っているのだろうか。それが知りたかった。

<プロフィール>
岡めぐみ(おか・めぐみ)
1996年生まれ、東京都出身。株式会社vivaceの取締役社長。ゴルフ雑誌の編集部を経て、ぶんか社に入社。雑誌『S.O.S』、『asayan』などを手掛けたほかにも、『Ranzuki』の立ち上げに携わる。独立後は、株式会社vivaceを設立。ファッション、ビューティ系のコンテンツを中心に、出版物・広告物・ウェブサイトなど、さまざまな制作物を手掛けている。

新卒で入った会社への、13年ぶりの訪問

「ああ〜、緊張するなぁ」

vivaceのオフィスに向かいながら歩いていた時に、ふと、そう漏らすと、写真家の池田さんが僕の肩を笑いながら叩く。僕の手にぶら下がっていた、キルフェボンの袋が揺れた。

「取材の謝礼? そんなのいらないよ」

メールで、そう仰ってくださった岡さんに、せめてものお礼として、キルフェボンのタルトをホールで購入した。一つは、イチゴのタルト。もう一つは、夏生まれの岡さんが好きなヒマワリに似ているな、と思ったオレンジのタルトだった。

実に、13年ぶりの訪問となる。「vivace」と書かれた扉を開けると、岡さんが僕の元に駆けつけてくれた。

「久しぶりじゃ〜ん! やだ〜、こんな気を遣わなくていいのに〜〜!」

続いて、当時の女性上司2人と、今も働き続けている同期の社員が玄関まで来てくれた。

「言われなければ、石川くんだってわからなかったよ」

「ははは、少しは貫禄が出たでしょうか」

ぶくぶくと太った身体について、お決まりの文句で返した。しばし、当時の思い出話をする。

たった1年しか在籍しなかった僕を、受け入れてくれるだろうかーーそんな心配は杞憂だった。岡さんの元には、そういう人が集まるのだ。

「じゃあ、取材のほう、よろしくお願いします」

新入社員の方だろうか、僕を応接室へと案内してくださった。僕も、当時は玄関に一番近い席にいて、来客を案内する役割をしていたっけ。そんなノスタルジーに浸っていると、岡さんが向かいの席へと座った。取材の始まりだ。

私は経営者じゃなくて編集者

――岡さんのご経歴をお聞きしたいと思います。編集者になろうと思ったのは、どうしてだったのでしょうか。

私、大学時代はゴルフ部で、その時に、とあるゴルフの大会の運営にアルバイトで参加してて、プレスルームのお手伝いをしていたのね。そうすると、取材記者の方たちとお会いする機会があるんです。

取材記者の人たちを見ていると、かっこよくて。私はゴルフが大好きだったから、このままゴルフ業界の取材記者になりたいな、とその時に思ったんです。

それで、ゴルフ雑誌を作っている出版社に入社しました。当時はバブル期だったこともあって、女性向けのゴルフ雑誌が、一気に世に出始めた時代です。確か女性向けのゴルフ雑誌が3誌あったかな、その内の一つで働いていました。その時、ゴルフファッションに関する記事をつくる機会があって、ファッションについて学ぶようになりました。

ファッション雑誌と言っていいくらい、ファッションの内容が濃いゴルフ雑誌だったから、どんどんファッションの魅力に取り憑かれていったというか。そこで、ぶんか社に転職して、ファッション誌を担当することになったんです。

――僕がvivaceにいた頃は、ぶんか社の『Ranzuki』や『JELLY』のタイアップページを担当していました。

そうそう。『Ranzuki』は、『asayan』をやった後に私が立ち上げたの。

――えぇ、それは知りませんでした。ゴルフからファッションのほうに移ったというお話がありましたが、ファッションは今もずっと続けていますよね。何か魅力を感じているからだと思うのですが。

ファッション誌をつくるにあたっては、もう、たくさんの方々の協力を仰ぐわけです。カメラマンさん、スタイリストさん、ヘアメイクさん、モデルさん、デザイナーさん、ライターさん、といった具合に。そういうプロの人たちと、常に何かを伝えようと同じ目標を見ながら現場をつくり上げていく。それは、とても楽しいことです。

あとは、ファッションのトレンドは毎年、変わっていくものだから。追い続けたら終わりがありません。だから、ずっと、この畑にいます。ファッションって一言で言っても、ティーン誌から大人向けファッション誌まであって、そのなかにもカジュアルであったり、コンサバであったり、趣向の違いがあるじゃないですか。

つまりは、ファッションと大きく区切っても、つくっているものは全然違いますよね。どんどん新しい流行が出てくるし。まだあるか、まだあるか、って。奥深いんですよ。年齢別、ジャンル別、性別と掛け合わせていったら、ものすごい数のファッション誌が存在するわけです。だから、飽きることはないですね。

――なるほど。少し話を戻して、岡さんがvivaceを立ち上げる。つまりは独立しようと思ったきっかけって、なんだったんでしょうか。

子育てです。まだ、私の時代は、今みたいに子どもを産んだ後の環境が整っていなくて。1年間の産休なんてないですよ。昔の労働基準法だから、産前・産後6週間、みたいな。しかも、当時の編集者の働き方というのは、午後2時・3時に出社して、盛り上がるのは夜中の12時。そういう世界ですよ。みんな、朝まで編集部にいて、始発で帰って、また午後出社する、という。

私が子どもを産んだ当時というのは、雑誌のなかでもまとめ役になっていたから、幹部会議で午前中に出社しないといけなかったんです。で、夜まで編集部にいる。そうすると、子育てしている時間なんて、どう考えてもなくって。

子どもが1歳になる時に、私の母とか、保育園の先生とか、息子はいろんな人に抱っこされていたけれど、1歳超えたら、私がお母さんじゃないって思われちゃうな、と思って。

会社からは、もう少し時間がちゃんとしている広告部に異動したらどうか、という打診もしていただいたんですけど、自分の立ち上げた媒体が目の前で、今、正につくられているのに、広告部に行くというチョイスは、当時の自分の中では考えられなかった。

だったら、もう、けじめをつけて辞めますと言って、フリーランスになりました。会社には全く不満なんてありませんでしたし、産休が1年取れるような今の時代だったら、まだ、会社員として働いていたかもしれません。でも、それが許されない時代だったから、仕方なく、フリーになりました。

――独立っていうのは、個人事業主ですか?

最初はそうです。でも、出版社ではまとめ役をやっていたくらいなので、入ってくる仕事の規模というのが、丸ごと1冊みたいな仕事ばかりで。そうすると、アシスタントさんがいないと回らないと思ったんですね。

それでアシスタントさんを雇ったんですけど、この子の生活を保証してあげないといけないな、と思って。会社を経営している父からのアドバイスもあり、その子の将来を考えて、独立して半年くらいかな。会社にしました。

――そうだったんですね。

だから、全然、会社をつくろうとか、そういうスタートじゃないんですよ。大きい仕事が来た、1人じゃ回せない、アシスタントさんをつけよう、そうすると仕事が回りますよね。すると、請けられる大きな仕事の本数が増えてくる。じゃあ、また1人入れようってなって、気づいたら今(※20数人)みたいになっていたという感じかな。

――それが20年以上、続いていると。

そうです。だから、私ね、全然、経営者になりたいとか、そういうマインドじゃないんですよ。たぶん、他の(編集プロダクションの)社長さんよりは、全然、編集者なんだと思う。経営者じゃないです。

――ちょうど、それを聞きたかったんです。岡さんは、今でも編集者としての意識があるのか、それとも経営者に寄っているのか。

全く、経営者としての意識はないです。なりたいと思ったこともない。ただ、唯一、責任感だけはあります。雇った以上は、この子たちを食べさせていかないといけない、っていう。ぼろ儲けしてやろうとか、すごい会社にしてやろうみたいなことは、全くありません。ものづくりをする最低限の人数と、支払える給料があればいいです。

誰に対して、どういう気持ちで何をつくるのかを明確にしないと

――そういう点において、会社の経営方針みたいなものって何かありますか?

やっぱり、よろこんでくれる人がいるっていうことが、まず、一番大きいです。その人たちのために、何ができるかっていうことは、常に考えています。

私ね、営業っていうものをこの20数年間、1回もしたことがなくて。

――えっ、そうなんですか?

1回もしたことがないんです、実は。そういう意味では、制作物一つひとつが営業だ、という考え方。だから社員にも常にそう言ってますし、絶対に手を抜いてはいけないし、仕事をご依頼くださったお客さまだったり、読者の方によろこんでもらえるものを全力でつくりなさい、と。

あとは、会社のポリシーというか、編集者としてのポリシーですよね。私は「365日、編集者であれ」ということを言っているんだけど。それは何かっていうと、たとえば、お友だちと食事に行きました。そのレストランをパッと見たら、何か撮影のロケーションに使えるんじゃないかとか。旅行に行ったら、「わー、楽しい」だけじゃなくて、ここをどういう切り口で取り上げたらおもしろいかを考える感度、アンテナっていうのかな。それが必要だと思っていて。

それを、心が休まらないと思ってしまう人は、結構、つらいのかもしれないですね。でも、それが苦しいと思ってしまったら、この仕事って、あんまり楽しくなくなっちゃうとも思っています。逆に言えば、それ以外、会社のクレドみたいなものはなくって。

――クレド?

クレドっていうのは、会社のポリシーみたいなもの。そういうの、全然ないです。一人ひとりが編集者として、毎日を楽しんでくれていればいいな、っていうのは思います。

あとは、やっぱり、何かものをつくった先には、お客さまや読者の方々がいるわけです。その人たちがよろこんだり、笑顔になったりするために、私たちって、ものづくりをしているんじゃないのかな。

自分を表現したいんだったら、クリエイターとか小説家になってくださいって、私はいつも言うの。編集者とクリエイターって、差があるなと思っていて。自分をすごく出したい人って、いるじゃないですか。でも、そういう人には、私はクリエイターになってください、って言ってます。

編集を請け負う以上は、何のためにこれをつくっているんだ、という意識が必要じゃないですか。そこを忘れて、己を出してしまう編集者って、たまにいるんだけど、それって違くない、と私は思ってます。

やっぱり、最初に、一体、誰に対して、どういう気持ちで何をつくるのかを明確にした上で、ものづくりをしないといけないと思う、編集者は。ゴールへの道筋を、しっかりと描いていくことですよ。それでお客さまの反応があったり、読者の方がよろこんでくれたりするから、うれしくて、また、こちらも、ものづくりをしたくなる。

編集者っていうのは、「編集者」って書くだけあって、いろいろな情報を一つのものとして編んで、世のなかに送り出していくわけじゃないですか。それこそ、いろいろなクリエイターの力をお借りして。でも、編集者自身は、クリエイターではないから、まとめる役でしょう。だって、書けるなら、自分で書けばいいと思うしね。

――そうですね。

まあ、自分も書いているけど、簡単な文章なら、書いちゃう。でもやっぱりライターさんにお願いする方がいいものができると思ってる。

――餅は餅屋というか。

そう。そのプロフェッショナルたちに集まってもらって、自分が舵を切って、それで最高のものができた時の楽しさったら、ないでしょ。楽しいよ。毎回、答えがないし、できるものが違うしね。

もっと褒められたいと思っているんじゃない?

――岡さんは、根っからの編集者なんですね。

私は楽しいと思って仕事しています。みんながどうかは、わからないけど。

――あはは(笑)。

でもさ、この仕事って、結果がわかりやすい仕事だと思いません? 私はそう思っています。たとえば、自分が会社の総務として働いていて、一生懸命、社員のことを考えて何かしていても、なかなか実感が湧く機会が少ないと思うのね。本当はたくさんの人のために色々な事をやってくれていて、すごい仕事なんですけど。

一方で、編集者なんて、一番わかりやすいと思う。ダメなものをつくってしまったら「何、これ」って言われますし。ああ、この仕事は失敗したんだ、というのもわかるし、これ評価された仕事かもっていうのもすぐわかる。

――僕は今、正にそこに悩んでいて。

それはもう、ものをつくる人間として、甘んじて受けるしかないよね。

――はい、仰る通りです。でも、そもそも、反応自体を感じられないことが多いというか。岡さんは、つくったものの反応をどのように受け取っているのでしょうか。

自分がつくったものが出来上がったら、すぐ見るし、周りの人にもすぐ見せる。日々の生活に追われちゃって、自分のつくったものを隅から隅まで見返さない編集者っているんだけど、そういう人、私は信じられない。

反応という点で言えば、雑誌だったら読者アンケートや売り上げで反応がわかるし、カタログだったら、商品の売り上げが、上がっているとか、全然売れないとか、数字である程度、見えますよね。だから、そういうのは、常に自己満足にならないようにチェックしています。できたものは、絶対にすぐ見ちゃう。それは怖い?

――怖くはないです。

じゃあ、感じないっていうのは、どういうこと?

――僕がちょっと臆病なのかもしれないですけど、たとえばエゴサーチとかってしないんです。

私もしたことない。

――たとえば、数年前に、池上彰さん監修のSDGsの本の制作に携わりました。そこの反応って、どこからも入ってこないんですよ。もちろん、クライアントは「良い本ができました、ありがとうございます」と言ってくださるんですけど。

それでいいじゃない。

――あっ、それでいいんですか!?

クライアントさんが「ありがとうございます」って言ってくれたっていうのは、それでもう、一個クリアしていると思う。だって、よろこんでくれる人がいたわけでしょう。だから、もしかしたら、もっと褒められたいと思っているんじゃない?

――そうかもしれないです。

それはさ、必要ないと思う。

――必要ないんですね。

まず、自分が満足しているものができた、全力を注いだという気持ちがあるのが前提ですよ。それで、周りの人たちみんなが「いいものができたね」となって、「ありがとうございます」って言ってくれる。それで良くない?

そうやって、ありがとうと言ってくれる人が1人、2人いてってなったら、それはもう、いい仕事をしたってことじゃない? それ以上を求める必要はないと思う。私が小さいよろこびで満足しているのかな。

――いえいえ、そんな風には思わないんですけど、つくった先の意味みたいなものを求めてしまうというか。誰かから感じ取りたくて。

でも、それはもう、クライアントさんが1人目にいるわけでしょう。一緒につくった人が、良いものをつくってくれてありがとうって、編集者としてすごいよって言ってくれる人が、もう2人でもいたら、それでいいと思う。

――ああ、そういうものなんですね。

そういうものでいいんじゃないのかな、別に。だって、チームのなかで不協和音があるとさ、絶対にいい結果が出ないもんね。もう、それって、誌面に表れちゃう。そういうものは評価されませんし。

――ちなみに、その本は重版も掛かったんですが、もう満足していいんでしょうか。

いいし、重版が掛かったということが評価じゃない。支持者がいた、っていうことでしょう。隣にいる人と、「いい本できたよね」って言い合えれば、それでいいと思う。

なぜかというと、世のなかにはすごい本がいろいろあります。でも、クオリティの高い本だからと言って、売れるわけではありません。でも、文化的に意味のある本とかもあるわけですよ。そこに携われたということに満足していいと思います。

先ほどもお話ししたように、何を目的につくるか、というのはいろいろな目的があるわけで、「今、これを出すことに意味があるんだ」と思う人たちがいて、その本が何年かしたら、ものすごく価値のある存在になっているかもしれないしね。

だから、そんなに四方八方から褒められるということが大事ではないと思う。それよりも、何を目的にこれに携わろうということを、しっかりと認識してつくることが大事じゃないかと、私は思っています。

もう、何度も言っているかもしれないけれど、その仕事を始める時に、何のために、誰に向かってよろこんでほしいのかを考えないと、しっちゃかめっちゃかになっちゃうじゃない。

――はい、それはもう……。あの、もう、お伺いしたいことの答えは全部いただけた気がします。

そーお?

「人に言われたものばかりつくってんじゃないよ!」と思う時もある

――最後に一つだけ聞かせてください。岡さんは編集プロダクションを経営していて、要は、それって、誰かに依頼されてつくるものじゃないですか。

そうですね。

――自分たちで何か、発信しようと思ったことってありますか?

あります。

――ありますか。

私が出版社出身っていうこともあるんですけど、私たちが雑誌をつくっていた時代というのは、今みたいにインターネットやSNSが発達していませんでした。だから、情報は雑誌から得るものだったわけです。おこがましく聞こえてしまうかもしれないけど、雑誌がカルチャーをつくっているような自負も少しあったと思うのね。おもしろい言葉をつくったり、厚底ブーツが流行っていますと書いたら、渋谷中、アムラーになってたり(笑)。

そういう現象を目の当たりにしていたら、カルチャーつくってるっていう楽しさも知っているわけですよ。そうするとやっぱり、自分で発信できるメディアがあるというのは、すばらしいことだと思います。

だから、やりたい気持ちはあります。ただ、日々が忙し過ぎちゃって、中途半端なものはつくりたくないという思いもあるわけで。やる以上は、きちんと責任感を持ってやりたい。中途半端な発信じゃダメだと思っているから。やっぱり、なかなか実現できないまま、ここまできちゃったという感じですね。

――なるほど。

いつか、やれるのかなぁ。細々とね。だから、もしかしたら、細々でも、いつか、そういうことができたら楽しいかもね。でも、やっぱり、そこにもちゃんと目的を持ちたい。なんでやるのかっていう。そういう部分がちゃんとしていないと、やっぱり出せない気がしているかな。メディア、出したいと思うよ。

――そうなんですね。

だから、そういう意味じゃ、全然、私よりも編集者としては一歩先を行っていると思いますよ。

――いえいえ、そんなことないです。全く、そんなことないです、本当に。

いやいや、謙遜じゃない? ちゃんと目的があって、サイトを組み立てているわけじゃない。それはもう編集者としてすばらしいと思うし、羨ましいよね。

――ありがとうございます。

いやいや、本当に。だから、やっぱり、私がダメだな。そういうところは。日々の忙しさにかまけて、できていないもんね。やっぱり、メディアをつくっていたいじゃない、編集者って。編集者の最高位は編集長で、だから、石川くんは編集長なわけでしょう。今、いいところを上り詰めているよねって思う。やっぱり、編集者の集大成だよね、編集長は。

――そうですね。

それは思います。でも、編プロってなかなか、そうもいかないのよね。うまくやっている編プロもあると思いますけど。そういう意味じゃ、私はダメですね。

――そうですか。

ダメだね。

――ダメですか。

仕事にかまけちゃって、編集者としての集大成に行き着いていないというかさ。そういう意味じゃ、無力感っていうテーマじゃないけど、人に言われたものばかりつくってんじゃないよ、みたいな。それはあるでしょうね。

――そう思う時もあるんですね。

あります。やっぱり、編集者としての集大成は、メディアをちゃんと発信することだと思っているから。何やってんのかな、ダメだよなこれじゃ、って感じ。集大成には到達できていないですね。

道半ばではないですか、編集者としては。だから、すごいよね、石川くん。私、死ぬまでに編集長になれるかな。

――いやぁ、なってくださいよ。

あはははは、どうだろう。

――ありがとうございます。お聞きしたいことは全て聞けました。あとは写真の撮影を……。準備ができましたら、お呼びしますので。

はーい、お待ちしてまーす!


▲2022年6月1日撮影。vivaceオフィスにて

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