4.文学作品の町が被災してしまった

【目次】
1.『フクシマ漂流』〜遠回りの理解〜

2.この本自体が答えを出していない

3.「作家として語らなくちゃいけない」

4.文学作品の町が被災してしまった

5.自分がいいことをしていると思わない

6.水俣市をモデルケースとして考える

7.「反原発」を現実論にするために

  
【プロフィール】

志賀泉(しが・いずみ)
小説家。1960年生まれ。福島県生南相馬市小高区(旧小高町)出身。県立双葉高校卒業、二松学舎大学文学部卒業。2004年、『指の音楽』で太宰治賞受賞。著書に『指の音楽』『TSUNAMI』(ともに筑摩書房刊)。

ブログ「福島県原被災地区の復興に向けて」
http://ameblo.jp/sigahina/



――そうして始まったのが、双葉高校野球部の甲子園予選大会の様子を追っていった記事ですね。

はい。『フクシマ漂流』を書くきっかけになった
映画監督の佐藤武光さんとは、
その後に参加した双葉高校のOB会で出会いました。

佐藤監督は、そのOB会でまだ未編集の
映画の映像を流していたんですけれども、
その製作委員に加わることになって。
いきさつを話すと長いんですけどね。

でも、震災が起きる前の1月、
双葉の町を偶然カメラで撮ってたんですね、僕が。
双葉駅から双葉高校に行くまでの1kmほどの
通学路と町の様子なんかも撮っていて。
海岸から見える、福島第一原発の写真もあった。

自分もね、なんでそのタイミングで
写真を撮ったのかわからないというか。
偶然ではすまされない縁みたいなものを感じて。
それで、佐藤監督に「こういうのもありますよ」と
言ったらば、是非映画の中で使いたいと。


――10月26日(金)には、日本文藝家協会が主催する「第12回 文芸トークサロン」で、佐藤監督の「立入禁止区域 双葉~されど我が故郷」の上映会が開かれ、志賀さんはトークゲストとして登場しますね。

2時間のイベントの内、90分が上映会。
僕が話す時間は非常に短いんですよ。

ただ、今までいろんな媒体で
今回の原発事故のことは語られてきたので、
被災地出身の人間として何が語れるか、
というところが焦点になるわけです。

僕は南相馬市出身で、その南側に小高(おだか)区というのがあって、
僕の生まれた頃は小高町と言っていたんですけども。

小高区出身の小説家である島尾敏雄の
代表作『死の棘』に、小高町の風景描写があるんです。

駅のホームから海のほうを見ると、
だだっ広い田園風景があって、
その向こうに防砂林の緑の帯が一列になって見える
――というものなんですけど。

そういう日本の戦後文学を代表する
作品の中の町が、風景が被災してしまったんです。
作中で描かれている水田はすべて津波をかぶってしまったし、
防砂林も消えてしまった。

さらに、そこに放射能が振って、
水田はもう何年・何十年と使えない。
そんな荒れた土地になってしまったんだ、
ということを知ってもらいたい、というのはあります。


双葉海水浴場から見える福島第一原発(撮影=志賀泉)




      

  

【インフォメーション】
文芸トークサロン
映画 『立入禁止区域 双葉~されど我が故郷』上映会
“原発事故 フクシマからのメッセージ”
日程:2012年10月26日(金)
時間:18:00~20:00
住所:日本文藝家協会(地下鉄 有楽町線 麹町駅1番出口)
料金:¥1,500(当日¥2,000) ※学生・65歳以上の方=¥500引き

※要申し込み。詳しくは同会ホームページへ
http://www.bungeika.or.jp/event.htm

  


※志賀泉さんの著書『フクシマ漂流』の購入を希望される方は下記リンク先へ
http://ameblo.jp/sigahina/entry-11306881920.html


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