3.「本当に楽しいね」って言える毎日を
<プロフィール>
安藤裕子(あんどう・ゆうこ)
1977年生まれ。シンガーソングライター。
2003年にミニアルバム『サリー』でデビュー。05年、月桂冠のテレビCMに起用された「のうぜんかつら(リプライズ)」が話題に。ソングライティング能力だけでなく、CDジャケットやコンサートグッズのデザイン、ミュージックビデオの監督など、そのアートワークも注目を集める。4月下旬発売のビューティ&カルチャー誌『CYAN』の表紙モデルに抜擢されているほかにも、今秋公開予定で、大泉洋さん、染谷将太さんらが出演する映画『ぶどうのなみだ』にヒロイン役として出演するなど、幅広く活動している。
——(アルバムのインタビューを終え)『30歳になる、僕たちへ。』(※編注:企画名が仮でした)という企画の取材に移らせていただければと思います。すごい個人的な企画で恐縮なんですが、僕、12月に30歳になるんですね、それで……。
おめでとうございます。
――ありがとうございます。それでですね、“30歳”というのを意識した時に、たかが数字とはわかっていながら漠然とした不安が出てきまして。
へへへっ(笑)。
——僕が“すてきに年齢を重ねている”と感じる人たちは、30歳になる時にどういうことを感じていたかのをお伺いしたいな、という企画です。
今の日本人は、本当に10年ヤングだよね。心の中が。もう、なんか、やっと20歳みたいなところある感じするんだよね。まあ、でもさぁ、男の子なんだから、30年も生きてんだったら、勝手にしっかりしてほしいですよね。なんか、モヤモヤしてる暇があるなら……30なら、昔の人死んでますからね。自分で勝手に動けばって感じがしますよ。女の子だったら、もうちょっと優しく言うけど、男の人だったら、もうちょっとしっかりしてほしいなって感じがしますね。
私ね、これが『14歳の君たちへ』だったら、もうちょっと真面目に話しますけど、『30歳になる、僕たちへ。』だったら、もう、なんかやだ。「そんなモヤモヤしてる人やだ!」って言うしかないですね。
――はい、もう、ぐうの音も出ません。安藤さんは、30歳を目前にして何か感じていたことはありますか?
コイちゃん(※編注:スタッフの鯉渕さん)が同い年なんですよ。だから、29になった時に、やたら一緒に「にく(29)だよ、どうする~」って話してた(笑)。もう、30の前が一番こわかったんじゃないかな。“29歳の自分”っていうのが。「やだ、このライン超えたくない!」みたいなことはすごく言ってたと思うけど、超えた途端に、異様に楽になったところはありますよ。ただね、30を超えると厚かましくなるよね、女子はね。
(同席している20代の女性スタッフを見て)あの子もね、もう2年くらいすると、急にこう……今はこんな(縮こまった仕草)ですけど、こういう風(足を組んでふんぞり返る)になりますよ(笑)。
――(笑)。20代の時の、30代のイメージというのは。
おばさんだよね。ふふ(笑)。「おばさんになるのがこわい」って思うけど、なったらおばさんのほうがラク(笑)。まあ、「おばさん」っていうのはちょっと自虐的な言い方ですけど、若い子たちとはやっぱり違うなって思いますよ。若い子はキラキラしてるっていうかね。でも、男性だったら、30なんて、ねえ。男盛りだと思いますよ。女の子は、なんかわかる。不安になるの。肉体が衰えるっていうの? 自分の見た目が好きだったら、なおさらさ。男の子は超ピークじゃんね、30代。何が怖いのか全っ然、わかんない。
――うーん、そうですね……。
ハゲ? えっへっへ(笑)。
――いえ、あの……(笑)。たとえば、この企画の取材は僕がすてきだな、と思う人たちに取材させていただいていて。初回は永井愛さんという劇作家の方なんですけど。近年、クライアントワークで、ありがたいことに著名な方への取材をさせていただく機会は増えてきているんですが、「自分が昔から好きな人たちに取材できないまま終わっていくのかな」とか考えたり。極端に言うと、自分がすてきだなと思う人たちのいるところまで行けるのかな、と。
うんうん。
――あと、僕は26歳の時に独立したんですけど、とある広告会社の社長に「30歳までに賞の一つくらい取っときなよ」と言われたのが頭に残っていたり。
へー、そういうものなんだぁ。
――賞、確かに欲しいと思いました。広告業界に比べると、編集者の賞って僕の知る限りではあまりないんですけど、自分を裏付けするものが欲しいというか。あの、『タッチ』(あだち充/小学館)という漫画があるんですけど、ご存知ですか?
目指せ! カッちゃん、甲子園!
――はい、それです。タッちゃんが甲子園地区予選の決勝戦を前に「実績と自信が欲しい。自分の支えになるものが、ハッキリとした形で欲しい」というようなことを言っていて。まさにそういう感じというか。
小学校の時に、徒競走で一位になったりとかあるんじゃないのぉ~(笑)?
――(笑)。安藤さんは、そういう部分での悩みってありましたか?
女の人は、そういうものをパートナーに求めると思うんですよ。相手に自分の存在を一番だと思ってもらうことで、自分の証明みたいなものを求めるんじゃないかな。それは10代でも20代でも30代でも40代でも、ずっと変わらないと思う。だから、身なりにも気を付けたいと思うし。
男の人が、そういうものを社会に求めるのは常だと思うんですけどね。それこそ、男性も10代からずっと変わらないんじゃないですか? でも、そういう話なら、一番動ける、そういうチャンスがあるのが30代だと思いますよ。20代は、まずがむしゃらに吸収する時間でしょ。それを知った上で、経験を積み重ねていくのが30代。そうしてだんだんと開かれていった道の上で、一歩引いた判断ができるようになるのは40代になってからだろうし。その中で、それこそ賞みたいに評価されることもあると思う。
私が思うのは、30歳になるまでは“まず考えないこと”ですよ。特に男性ならね。考える暇があったら、とにかくがむしゃらに目の前の仕事をすることじゃないですか? 何ができるかを自分が考えるんじゃなくて、目の前に与えられたことをとにかく、とにかくがむしゃらにやっていく。そうして、体で知っていくんじゃないですか、方法を。で、知った方法を30代で生かしていくんだと思う。
うん、モヤモヤ不安に思うんだったら、頑張りなさいってことですね(笑)。ま、女の子はもっと不安でもいいと思いますよ。それもかわいいじゃん、って。
そうそう、女性はやっぱりホルモンバランスみたいなのが変わってきて、体質に変化が出てくるんですよ。もう、30超えたら急に冷え性になって、立ちくらみがするようになるとか。30を超えた女性には、男性は優しくするべきだと思います。特にいたわってあげたらいい。ちょっと怒りっぽかったりするのも、それはホルモンバランスだから、うん。怒ってる女性には、優しく「大丈夫?」って言ってあげるのが、私はスマートだと思います。
――……勉強になります(笑)。
なんか、さっきから、めちゃくちゃ一方的に男の人に押し付けてる……(笑)。
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<リリース>
『Acoustic Tempo Magic』
2014年3月12日発売
CTCR-14823 / ¥1,890(税込み)
【収録曲】
1.slow tempo magic
2.黒い車 feat. NARGO(東京スカパラダイスオーケストラ)
3.早春物語(原田知世さんカバー曲)
4.隣人に光が差すとき
5.聖者の行進
6.世界をかえるつもりはない
【初回封入特典】
収録曲「黒い車」のミュージックビデオ(フルレングス)を先行視聴できる、安藤裕子さんデザインのフライヤー。AR(拡張現実)機能を使っての革新的な視聴方法です。
※期間限定視聴:2014年3月11日正午~4月11日正午。スマートフォン・タブレットPCのみ視聴可
<ライブ>
「安藤裕子 2014 ACOUSTIC LIVE」
5/6(火・祝) 神奈川 鎌倉芸術館 大ホール
5/16(金) 香川 高松市玉藻公園被雲閣大書院
5/17(土) 広島 尾道市民センターむかいしま文化ホール こころ
5/24(土) 大阪 サンケイホールブリーゼ
6/1(日) 仙台 宮城野区文化センター コンサートホール
6/7(土) 沖縄 桜坂劇場 ホールA
6/15(日) 名古屋 しらかわホール
6/21(土) 東京 めぐろパーシモンホール 大ホール
6/28(土) 福岡 IMSホール