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FEATURE —特集—

Nico「自然を身につけるアクセサリー」

「自然を感じるアクセサリー」をテーマに、オリジナル性あふれる作品を発表しているアクセサリーブランド「Nico」。デザイナーを務める奥村仁幸に、ブランドのコンセプトや作品の特徴、ブランド立ち上げの経緯などを聞いた。現在のアートワークや学生時代の作品と共に紹介する。

【プロフィール】

奥村仁幸(おくむら・にこ)。「Nico」デザイナー。1985年生まれ、和歌山県出身。専門学校ヒコ・みずのジュエリーカレッジ アートジュエリーコースを卒業した翌2008年、アクセサリーブランド「Nico」を立ち上げる。アクリルの中に花や野菜などを入れたものや、コーヒー豆などをモチーフにしたアクセサリーを発表している。
Nicoホームページ=http://nicodesign.jp/index.html

取材・文=石川裕二(石川編集工務店)
写真=金子麻也

1.「指先に、自然を」(5/6公開)
2.「地球が素材」(5/7公開)
3.「ブランドの立ち上げ」(5/20公開)
4.「あたらしい作品、これからの『Nico』」(5/20公開)

1.「指先に、自然を」

自然を感じるアクセサリー
ーー「Nico」といえば、代表作に黒コショウやパセリ、バラなど自然界のものをアクリル(樹脂)で包み込んだものがありますが、ブランドのコンセプトについて教えてください。

ブランドのコンセプトは、“自然を感じるアクセサリー”です。今、自然を忘れてしまっている人って、とても多いと思うんです。いつも急ぎ足で、ちょっと立ち止まって花を見たり、空を見たり、野菜を買って料理したりっていう、本来人間の営みとして当たり前のことができない時代というか。

「Nico」のアクセサリーを身につけることで、自然と触れ合うことの素晴らしさを思い出して欲しいな、という思いがあります。特にOLさんたちは、ずっとデスクワークで閉塞感を感じることもあると思うんですけど、ふと指先に視線を落としたとき、リングの中のバラを見れば心が安らぐじゃないですか。

ーー奥村さん自身、そういう閉塞感のようなものを感じたことがあったのでしょうか?

僕は和歌山県の新宮市という、海と山に囲まれた町で生まれてからの18年を過ごしましたが、専門学校時代に東京に住んで思ったのは、「身近に自然がない」ということです。

新宮市には、熊野古道という世界遺産に登録されるようなところもあるくらいで、本当に自然が多い土地なんです。子どものころから、「自然が友だち」という感じでしたね。川もすごいキレイで、朝霧がさーっと引いていく神秘的な様子は『もののけ姫』の世界のようで。海には、蛍のように光る微生物がいて、その光をよけながら夜の海岸を歩いたり。見上げれば満点の星空があって……。あそこでしか見られない景色だと思います。

ーーそういう景色を「閉じこめたい」「身につけたい」という願望が?

それはやっぱり、ありますね。あの場所で育っていなかったら、今のような作風にはなっていなかったと思います。

ーー自然にあるものを閉じこめて身につけるというのは、とても贅沢なことであると同時に、今の時代にマッチしたアクセサリーだとも思います。そもそも、どうしてアクリルの中に自然素材のものを入れようと思いついたんでしょうか?

スーパーで買い物をしているときに、食材の並んでいる様子が色とりどりでとてもキレイだったんです。その時、ジュエリーの専門学校に通っていたので、それをアクセサリーにしたら面白いんじゃないかと思いました。それから、実際につくり始めるまでは少し時間が空くんですけど。

素材を選ぶときはまずは色合いを重視します。あと、野菜などを入れる場合は、乾燥しているものじゃないと使えないんです。どうしても変色してしまうので。


左から、抹茶リング(¥12,600)、バラ金箔リング(¥9,450)、唐辛子リング(¥9,450)、金箔リング(¥12,600)、バラダブルパールリング(¥19,950)

ーーすべてハンドメイドでつくっていますが、やはりこだわりが?

それはありますね。「人に頼めばいいじゃない」って言われるんですけど、頼みたくないんです。最後まで全部自分でやりたいっていうのがあって、そこはもう……、すごい頑固なんですよ(笑) 

まずはアクセサリーの型をつくるんですけど、その型をつくるのに3日掛かります。アクリルシリーズに関して言えば、入れる物によっては浮いてくる素材があるので、何層にも分けて素材を入れていくんです。1回目は下の部分、2回目は真ん中、3回目は上の部分、という風に。作品によって、一つひとつ素材の位置も変わってくるので、バランスを見ながらやっています。

あとは、リングについて言えば、わざと形をくずしています。キレイに真円をつくろうと思えばつくれるんですけど、それだと面白くないというか。ハンドメイドらしさがあったほうが、カッチリしたありきたりなデザインよりも、お客さんに喜んでもらえると思うんです。それに、自分の意志も伝わりますし。

そう思うと、やっぱり工場には出せないんですよね。どうしても、細かい注文には対応しきれない部分があるので。だから、作品は一日に1個、多くても2個しかつくれないんです。ブランドとしては、大きくならないかもしれない(笑)

ーーそんなことないと思いますよ(笑) 実際、立ち上げから2年を迎えた現在、ブランドとしての展開は徐々に広がりを見せています。現在の店舗展開などを教えてください。

今は、アッシュ・ペー・フランス系列の「destination Tokyo(デスティネーション トーキョー)」での取り扱いを始め、百貨店へのイベント出店などが主な展開です。5月4日にオープンした大阪伊勢丹では、ブランドとしては初となる常設の取り扱いも決定しました。

「destination Tokyo」には、スタイリストの方が足を運ぶことも多く、6月から放送予定のエッセンシャルのCMで「Nico」の指輪が使われています。最近では、テレビでモデルのマリエさんが着用してくださったり、5月16日(金)まで渋谷PARCOで開かれている『パルコツーリスト』という企画で、歌手の一青窈さんが“旅に持っていきたいアクセサリー”として「Nico」を紹介してくださるなど、ありがたい限りです。

また、他ブランドとのコラボレーションもしていて、今は呉服用の帯留めや根付けのデザインのほかに、傘のデザインなどもしています。

ーー百貨店でのイベントショップといえば、5月17日からそごう横浜店で、6月9日から東急百貨店の渋谷駅・東横店で開かれますね。イベントショップでは奥村さん自身が販売に立つということですが。

お客さんが喜んでいる姿を見た時に、一番やりがいを感じるんです。やっぱり、「Nico」のアクセサリーを手にして喜ばれているのを見ると、「もっといいモノをつくろう」と思いますよね。世間話をするのも、楽しいんです(笑)


左からブラックペッパーリング(¥4,200)、K18チェーンリング(¥11,550)、パールリング(¥8,400)、さんごK18リング(¥9,450)

> 2.「地球が素材」

【出店情報】
「ナチュラルスタイルフェア」
日程:5月11日(水)~16日(月)
時間:10:00~19:00
場所:伊勢丹 相模原店 2Fイベントスペース内

「イベントショップ」
日程:5月17日(火)~30日(月)
時間:10:00~19:00
場所:そごう 横浜店 B1Fトランスマーケット

「イベントショップ」
日程:5月26日(木)~31日(火)
時間:10:00~20:00
場所:東京ますいわ屋 名古屋サカエチカ店

「イベントショップ」
日程:6月9日(木)~15日(水)
時間:10:00~21:00
場所:東急百貨店 渋谷駅・東横店 2Fアクセサリー売り場

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