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FEATURE —特集—

竹仲絵里『contrast』
旅路で見付けた音楽が鳴る景色、情景の広がる歌。

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プロでありながら、毎度音楽の魅力を説明するのに苦労します。
一言で言えば「曲を聴いてください」という感じなのですが、
竹仲絵里さんに関して言えば、すべてを包み込むような
あたたかい歌声がすてきだと思っています。

僕は大学生の時に、インタビューにも出てくる楽曲
「サヨナラサヨナラ」で竹仲さんを知ったのですが、
第一印象は「中学生の時に好きだった歌手の歌声に似てる!」でした。
そして、その“好きだった歌手”がいま何をしているのかを
調べたところ、竹仲絵里さんご本人だったのです。

名義が変わった&とても大人っぽくなられていたので気付かなかったんですが、
多感な思春期を超えてもなお、僕は竹仲さんの歌声に惹かれていたんです。

ということで、まずは
オフィシャルHPなどで公開されている楽曲
聴いていただければなと思います。
そこから感じる彼女の魅力は、人それぞれ。
でも、この歌声は普遍のものだと思います。

このあたたかさとの出会いを、
一つでも多く紡ぐことができれば幸いです。

ジャケット写真を「自撮り」。
「旅+音楽+写真」がテーマのミニアルバム

――6月25日に、「旅+音楽+写真」をテーマにしたミニアルバム『contrast(コントラスト)』がリリースされます。2012年リリースの『Sang(サング)』、2013年の『mele(メレ)』もそうですが、ご自身でジャケットの撮影をしてらっしゃるんですよね。

そうなんです。でも、『Sang』の頃は、「実は自撮りしているんです」っていうのも恥ずかしかったんですよ。なんか、すごいナルシストみたいに思われるんじゃないかなって(笑)。ただ、撮っていく内にだんだん吹っ切れちゃって、いまはすごい楽しんでやっています。こう撮ったら、もっとおもしろいんじゃないかな~、なんて考えたり。

ジャケットの写真は、三脚にカメラをセットして、インターバル撮影をしています。5秒に1回、シャッターが切れる設定になっているんですけど、少し離れた場所にカメラをセットするとシャッター音が聞こえなくて、自分でもいつ撮られているかわからないぐらいなんです。そうやって、構えないナチュラルな撮影環境にして、自由に動き回ったり、飛び回ったり、躍ったりして、奇跡の一枚を待つっていう(笑)。

――(笑)。ご自身で撮影をすることになったきっかけって、何だったんでしょうか。

もともと写真を撮るのが趣味で、すごい好きだったんです。学生のときから、友だちに「カメラ小僧」って言われるくらい(笑)。デビューしてからも写真はずっと撮り続けていて、ブログに載せていたら「写真がいい」っていう声をたくさんいただいたんです。で、ちょっと調子に乗っちゃって「え、そうかなぁ?」みたいな(笑)。事務所の社長も「一回自分で撮ってみたらどうだ?」と話してくれて。

それで、やってみたいなぁと思った時が、ちょうど『Sang』のレコーディングをしようというタイミングで、プロデューサーのアランから「ノルウェーにすごいいいスタジオがあるから、どう?」っていう話をいただいたんです。じゃあ、せっかくだから、異国の地でレコーディングして、写真も自分で撮ってみようとなったのが「旅+音楽+写真」っていう、三位一体の表現をコンセプトにしたアルバムづくりのスタートでした。

さまざまな“コントラスト”が詰まった一枚

――いろんなタイミングの巡り合わせから生まれたテーマだったんですね。ジャケットの話に戻ると、『Sang』『mele』はやわらかい感じの写真が印象的でしたが、今回は色合いや竹仲さんの目線から“強い”印象を受けました。アメリカのセドナで撮影されているとのことですが。

これまでは、RICOHの「GR(ジーアール)」というコンパクトカメラで、色味の調整ができるフィルター機能を使って、淡い雰囲気の写真を撮っていたんです。でも、今回はセドナの赤い土と、青い空と、植物の緑を見た時に、これはフィルターを掛けてしまったらもったいないなと思って。自分で色味の調整やレタッチもしているんですけど、“コントラスト”の強いパキッとした色にしました。

――“コントラスト”というワードは今回のタイトルにもなっていますね。由来を教えてください。

ノルウェーでつくったアルバムが『Sang』、ハワイが『mele』で、両方とも現地の言葉で“歌”っていう意味なんです。だから、アメリカなら『Song』になるのが本来の流れなんですけど、『Sang』と『Song』じゃつまらないなっていうのもあって、このアルバムを表現できる言葉をいろいろ探していたんです。それで、カメラ用語もいいかなって思いながら浮かんできたのが『contrast』でした。

実際、今回行ったLA(ロスアンゼルス)とセドナは“都会”と“自然”っていう対照的な場所で。セドナの景色も“赤い土”と“青い空”、“強い日差し”と“幻想的な夜”っていう、いろんな対比(コントラスト)があったんですよね。歌詞を読み返しても、自分の中にあるコントラストが自然と描かれていたり――タイトルを決めたのはほとんどの楽曲が出来上がってからなんですけど、最初から決まっていたんじゃないかなっていうぐらい、ピタッとハマったタイトルでした。

――そもそも、今回セドナとロスを選ばれた理由は何だったんでしょうか。

最後に収録されている「dawn(ドーン)」っていう曲の持つ色というか、匂いというか。それがセドナにすごくハマりそうだなって思ったんです。『東京黎明ノート』の「黎明」と同じで「夜明け」っていう意味なんですけど、そういう幻想的な夜明けを感じられる場所がいいなと。

――セドナはネイティブ・アメリカンの聖地で、近年ではパワースポットとしても人気ですね。足を運んでみて、いかがでしたか?

自分が地球の上に立っているんだって思える広大さというか、壮大さというか……。言葉にならない震えるような感覚は、日本では感じられなかったものなので、目の前のことや来年のことで頭がいっぱいになっていた自分が馬鹿らしくなるぐらいでした。もっと人生のこととか、一人の人間としての自分のことを見つめるきっかけをくれる場所だったなと思います。

セドナ・LAは「楽曲が呼んでくれた場所」

――セドナを含む道中の写真は、32ページのブックレットにたっぷり掲載されていますね。

歌詞と一緒に、音楽をつくってきた景色や空間を味わいながら楽しんでもらえたらと思います。今回、ブックレットの詩と写真の組み合わせも自分で決めていったんです。最初は人に任せるんですけど、どうしても「この詩にはこの写真!」みたいなのが出てきちゃって(笑)。

――現地の空気を感じられるすてきな写真が収められていますが、竹仲さんがシャッターを押したくなる瞬間って、どういう時なんでしょうか。

かっこつけてるみたいですけど、景色を見て音楽が流れる時があるんです。ブックレットの「dawn」の写真は、LAに着く直前の飛行機から撮ったんですけど、窓の外から夜明けの景色が見えた時に「ああ、ほんとにここに来て良かった。これだったんだ」って。その景色を見た瞬間に曲が頭から離れなくなりました。曲がこの場所に呼んでくれたのかなって思いました。

――アメリカの土地がレコーディングに与えた影響はありましたか?

「echo(エコー)」はセドナの風をイメージして書いていて、すごいいろんなコーラスを重ねて掛けたり、ちょっと不思議な世界観を描きながらつくりました。あと、「I 10(アイテン)」は都会的なLAのイメージから、エレクトロニックを取り入れています。いままで、あまりそういう音は使ってこなかったんですけど、アコースティックの音とエレクトロニックの“コントラスト”だったり、遊び心を入れてみようと思って。

それと、「I 10」は、向こうに行ってできた曲なんです。“インターステート10”っていう道路の名前なんですけど、LAからセドナに行くには、その道をひたすら真っすぐ走るんですね。もう、車で9時間ぐらい。2時間経っても、3時間経っても「景色変わんないじゃん!」っていう(笑)。でも、実は進んでいないようでゴールに近付いているんだよっていう感覚を曲にしました。

これからも自分が愛せるもの、
自信を持って人に渡せる作品を。

――個人的には、『Sang』から楽曲の雰囲気がいい意味で変わった印象があるのですが、ご自身ではどう感じていますか?

『Sang』をつくっていた頃は、ちょうど私が30歳になったぐらいで、“解き放たれた感”みたいなのは確かにあって。あせりとは違うんですけど、それこそ20代後半は「何かいますぐ結果を残さないと」って、いろんなことを考えすぎてしまった時もあったんです。でも、そこで腹をくくって「あたしにしかできない音楽をやろう」っていう感覚になれたのもあるかもしれません。ちょうどそのタイミングで、自分の好きな“写真”と“北欧(旅)”っていうものが引き寄せられて……。だから、曲もあんまり気負って描いた記憶がないんですよね。その時の自分を本当に素直に描いたもので。

あとは、プロデューサーのアランもすごいおっきい存在なんです。インディーズ時代にも一緒に音楽をつくっていたんですけど、その時は「売れる」とか「結果」とかって言う前に、「かっこいいものをつくりたい」っていう、純粋にクリエイティブな感覚でつくっていたというか。そこからメジャーデビューして、いろんなことに耳を傾けようって自分も一生懸命で。30歳になって、いままでの自分の作品を聞き返した時に、またあの頃みたいに音楽をつくりたいなって思ったんです。

『Sang』をつくって、いままでで一番、“らしいアルバム”ができたなって思っていたら、スタッフに「これを3年前につくってほしかったな」って言われましたけど(笑)。

――でも、そういう一生懸命な時間があったからこそ、“らしい”と思えるアルバムができたんですね。

本当にそう思います。改めて、私はやっぱり私であって、変わってなかったんだなって安心もしたし。それって、いろんなことにチャレンジしたり、遠回りしたり、悩んだから気付けたというか。気付けば長くやってきましたけど、その月日があったからつくれたんだと思います。

――『mele』ではご自身でプロモーションビデオもつくられていますが、「旅+音楽+写真」をテーマにしたアルバムを三作つくってきて、今後の表現活動について何か感じることはありますか?

音楽だけをつくってきた時よりも、作品として「ここまでできた」っていう達成感がすごいあります。慣れない作業ばかりで、たくさんの方に手伝っていただきながらの制作だったんですけど、より深い愛着を持てる作品をつくることができました。これからも、そういう自分が愛せるもの・自信を持って人に渡せるものをつくっていきたいなって。それは思いました。

これから、音楽・写真・映像すべてがコラボレーションできるようなライブを完成させたいなって思います。少しずつ始めてはいるんですけど、自分なりの表現の形を確立できたら、すごいいいなって。あとは、女性として、これからの人生いろいろ変わっていく部分もあると思うんですけど、それとともに、音楽が一緒に成長していくというか。聴いている人も含めて、自分に訪れる分岐点とか、いろんなことが全部音楽のチャンスに変わるような活動をしていきたいと思っています。

<プロフィール>
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竹仲絵里(たけなか・えり)
1980年生まれ。シンガーソングライター。
2002年、シングル『my duty』でインディーズデビュー。04年に『秋晴れモノラル』でメジャーデビューし、06年にコブクロの小渕健太郎サウンドプロデュースによるシングル『サヨナラ サヨナラ/gerbera』の「サヨナラ サヨナラ」がUSEN総合チャートで、6ヵ月に渡りチャートイン。11年にリリースした『記憶の森のジブリ』で、スタジオジブリの楽曲をアコースティックカバーしたことで話題に。12年リリースの『Sang』からは「旅+音楽+写真」をテーマにした作品を発表。ジャケット写真やプロモーションビデオの撮影・制作を自身で手掛けるなど、音楽を軸にしたマルチな表現活動を行っている。

http://eri-takenaka.com

6/25に3作品同時リリース!
<リリース>
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『contrast』
2014年6月25日発売
¥2,500(税込み)
※32ページの別冊ブックレット付き

【収録曲】
01.Reload
02.heart-go-round
03.たしかなもの
04.I 10
05.コーヒーと愛のうた
06.蒼い月
07.echo
08.dawn

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『INDIES BEST』
2014年6月25日発売
¥3,086(税込み)

竹仲絵里の原点でもあるインディース時代の3作品「my duty」「four-leaf-clover*」「余韻」をリマスタリングして全曲収録。ライブ会場限定販売の作品が待望の全国発売。

【収録曲】
01.水色
02.花咲く日まで
03.four-leaf clover
04.my duty
05.余韻
06.花びら
07.i need to be in love
08.rainrain
09. 泣ける場所
10. Don’t let go
11. Quiet night
12. 小さな答え
13. Desperado

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『揺籃歌2013 LIVE DVD』
2014年6月25日発売
¥4,937(税込み)

「揺籃歌(ようらんか)」と題した全国22公演のファイナル公演を収めた一枚。2011年からカフェライブスタイルで行ってきたライブの集大成となっており、ヒット曲「サヨナラ サヨナラ」「黄色い花~Wedding Story~」を含む全11曲&スペシャルインタビューカットを収録している。

  

<竹仲絵里・夏のワンマンライブ at 北國新聞赤羽ホール>
金沢・北國新聞赤羽ホール
18:30(開場)/19:00(開演)
全席指定 ¥5,000(税込み)
(未就学児童入場不可)
問い合わせ:財団法人北國芸術振興財団(TEL:076-260-3555)
http://www.akabane-hall.jp

▼チケット
チケットぴあ:0570-02-9999
ローソンチケット:0570-084-005
イープラス http://eplus.jp

▼『contrast』発売記念イベントなどのライブ・イベント詳細はこちら
http://eri-takenaka.com/live

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