「素晴らしきかな、ヴィジュアル系」第4回/L’luvia
La’cryma Christiの復活や豪華バンドの共演で話題を呼んでいる「CROSS ROAD Fest」の出演者が発表された時、これだけのバンドが一堂に会するのかという驚きと共に、L’luviaの名前が載っていることに喜びを隠せなかった。L’luviaは私が高校生の頃に好きだったバンドで、他のヴィジュアル系には見られないポップでキャッチーな楽曲、そのなかに潜む美しいメロディーが特長だった。
2000年に活動を休止(※その後、正式に解散)して以来、何度か1日復活していたことは知っていたが、この大舞台に再び姿を見せてくれるだなんて、興奮しかなかった。よくよく調べると、直近の復活は2018年のイベント「Earliest Memories」。その時のサポートメンバーには、なんと、先日取材させていただいたwyseのMORIさんが名前を連ねていた。
そこで、wyseのマネージャーさんに連絡を取ると、今回もサポートメンバーを務めるという。さらには、L’luviaを紹介してくれるとも……! しかも、MORIさんも取材に同席してくれるというのだから、こりゃあインタビューさせていただくっきゃねぇ!!
というわけで、L’luvia史上初(?)のウェブインタビューをお届け!! 記事の最後には、「CROSS ROAD Fest」の主宰である謎の人物・YUTAKAさん、ジュビ野郎であるヴィジュアル博士のるさん、ジュビっ子のフリーアナウンサー(※元西日本放送、テレビ愛知アナウンサー)・菊池優さんが同バンドの魅力を語る寄稿を寄せてくれたから、併せて読んでくれよな!
取材・文:石川裕二
写真=池田宏
「CROSS ROAD Fest」への緊張で帯状疱疹に
――まずは、「CROSS ROAD Fest」へのご出演、本当におめでとう……と言うか、ありがとうございます!! 出演依頼があった時のお気持ちを聞かせてください!
マースケ:最初にYUTAKAさんから連絡をいただいた時って、「11月16日、空けておいて」くらいのふわっとした状態だったんです。なんだろうと思っていたら、その数日後に「イベントをやろうと思っているんだよね。企画書にL’luviaの名前を入れているから、よろしく」と。
KAORU:それで、マースケからは「おれは出たいんだけど」と連絡が来て。そんな風に言われたら、断れないじゃないですか。「へー、そうなんだ。おれは出ないよ」とは、とても言えないです(笑)。
――YUTAKAさんもマースケさんもナチュラルに策士だなぁ!
マースケ:2018年にも「Earliest Memories」というイベントでYUTAKAさんから声を掛けていただいて出演させてもらったんですけど、充実感がすごくって。KAORUくんとも「次にYUTAKAさんから声を掛けられたら、絶対に出よう」と話していたんです。なので、正直な気持ちを言えば、すごくうれしかったです。このメンツのなかで、再びL’luviaをやらせてもらえるんだ、と。
――6000人規模のキャパシティの会場ですが、緊張はありますか?
マースケ:緊張はあまりないです。楽しそうだな、という気持ちが強いですね。
KAORU:僕は企画書を見た時から、ずっと緊張しています。不安過ぎるせいかはわかりませんが、ゴールデンウィーク明けには帯状疱疹になりました(笑)。でも、マースケも言っている通り、ありがたいです。11月までにできることをやって、頑張るしかないなと思っています。
豪華なサポートメンバーに支えられて
――今回は1日復活という認識でよろしいんですよね?
KAORU:そうです。
――L’luviaは2000年に活動休止になり、その後、正式に解散しました。インターネットで情報を探してみると、2005年に新潟中越地震のチャリティーライブをして、2018年には「Earliest Memories」でも1日復活をしたという認識ですが、間違いないでしょうか。
KAORU:僕はL’luviaが解散してから、Suzzy&Carolineというバンドをしていたんですが、スジキャロが解散する時に東京と新潟でライブをしました。その時、新潟ではL’luviaのオリジナルメンバーが全員出てくれたんです。2009年にも、同じくオリジナルメンバーでワンマンをしています。そこから2018年ですね。
――MORIさんは2018年に「Earliest Memories」で共演していますが、L’luviaに対してどのような印象をお持ちでしたか?
MORI:L’luviaが活動していた時期は、僕らがまだ大阪に住んでいる頃でした。wyseを結成する直前から直後にかけての時期だったと思うんですけど、音楽番組「Break Out」に出演されていた印象が強いです。80年代後半から90年代初頭にかけてのバンドブームを彷彿させてくれる、「バンドって楽しい」という感覚をストレートに伝えてくれる存在だと感じていたのを覚えています。
――解散前のL’luviaと対バンしたことはありますか?
KAORU:僕はL’luviaではないんですけど、Suzzy&Caroline時代に一度対バンさせていただきました。
MORI:L’luviaは、wyseが上京したくらいの頃に活動休止されたので、残念ながら、当時共演の機会はなかったですね。2018年の「Earliest Memories」でのライブが初共演でした。
――その時のL’luviaのライブでは、MORIさんがサポートメンバーとしてギターを弾いていました。サポートが決まった時には、まずは音源の聴き込みから始めるのでしょうか。
MORI:そうです、まずはセットリストの曲を聴き込むことからですね。それで感じたのは、L’luviaの楽曲って、やっぱり、すごく楽しいんですよね。もちろん、それだけじゃないですよ。でも、間口として誰もが楽しめる楽曲が多いので、裾野が広いんです。肩肘張らずに聴けるというか。そういうところがL’luviaの魅力だと思います。
――MORIさんが語るL’luviaの魅力、めっちゃいいなぁ〜〜!
MORI:でも、変な話、サポートメンバーが自分でいいのかという思いもありました。やっぱり、ファンの方は4人のL’luviaでの大切な思い出があるでしょうから、そこに自分が踏み込んで行っていいのかな、と。
――サポートする立場ならではの悩みですね。一方で、KAORUさんとマースケさんはMORIさん、KENJIさん(CLOSE)、shujiさん(ex. Janne Da Arc)という豪華メンバーのサポートが決まった時は、どんなお気持ちでしたか?
KAORU:申し訳ないなと。
――えっ、どうしてでしょうか!?
KAORU:ずっと音楽活動をしてきた方たちが、僕みたいに音楽活動を辞めて何年も経っている人間のいるバンドをサポートしてくださるということに対して、本当にいいのかなと。
――そんなぁ! マースケさんは、いかがでしたか?
マースケ:KAORUくんと同じ感じです。しかも、wyseもCLOSEもJanne Da ArcもL’luviaとは毛色が異なるバンドなので、3人のイメージが崩れないかが心配でした。ただ、「本当にいいのかな」と思いながらも、「すごい、やったー!」という気持ちも同居していたんですよね。やっぱり、うれしいですよ。このメンバーにサポートしていただけるだなんて。
MORI:逆に、「僕らがサポートさせてもらえれば、出演してくださるんですか!? だったら、喜んでやらせていただきます」という気持ちでした(笑)。
――KAORUさん、マースケさん、今のは演者冥利に尽きる言葉ですね! 普段はクールなギタープレイの印象があるMORIさんですが、やっぱり、L’luviaの時はハッピー♡カムカムな感じになるんでしょうか……?
MORI:サポートメンバー、全員そうなっていますよ。曲が呼び込んでくれるというか。L’luviaだからこそのスイッチが確実にあります。
マースケ:「Earliest Memories」のライブ映像を見させていただいたんですけど、サポートの3人が笑いながらライブしてくれていたんです。shujiさんに至っては、口ずさみながらドラムを叩いていました。MORIくんもKENJIくんも笑いながらギターを弾いていて、それを見て、とても幸せな気持ちになりました。この3人にサポートしてもらえて、本当に良かったなと思いましたもん。
――MORIさんとKENJIさんのツインギターになることで、楽曲に変化はありましたか?
マースケ:変化があったとすれば、楽曲もそうなんですけど気持ちの部分ですね。本当はKAORUくんと僕で引っ張らないといけないと思うんですけど、凄腕の3人に演奏に乗っかることへの安心感があったというか。
KAORU:それ、すごいわかる。あとは、音源だとキーボードの音が結構入っているんですけど、「Earliest Memories」の時はキーボードなしでいけたんです。それくらい、ツインギターになることで音の厚みが変化して。安心してライブに臨むことができました。
――KAORUさんとマースケさんから見たMORIさんって、どんな方ですか?
KAORU:「クールでかっこいい」っていう言葉がピッタリですよね。
MORI:そうですか?
マースケ:うん、本当にクール。そして、カッティングがめちゃくちゃきれいです。
MORI:なんですか、それ(笑)。
マースケ:でも、まじめな話、「CROSS ROAD Fest」でも「Earliest Memories」の時と同じ3人がサポートしてくれるじゃないですか。一度同じステージに立たせてもらっているので、いろいろとやりやすいですよね。リハーサルが楽しみです。
KAORU、まさかの黒服時代(※写真あり)
――ここからは、L’luviaを知らない方にもL’luviaのことを知っていただけるような質問をしていきたいと思います。L’luvia初のCDとなったミニアルバム『Blanc Neige』とメジャーデビュー後に発表された『ジュビアルバム』では、だいぶ楽曲の毛色が違うように感じるのですが、どういう変化があったのでしょうか。
KAORU:ここに懐かしい写真があるんですけど……(と、スマホを差し出すKAORUさん)。
▲KAORUさんが黒服!?
――えっ!? こ、この写真は一体……!
KAORU:僕がL’luviaの前に組んでいたバンドの頃の写真です。ダークでミステリアスなバンドに憧れていました。
――なるほど、『Blanc Neige』にはその片鱗が残っているのか……! ヴィジュアル系特有の切ないメロディーと言いますか。
KAORU:でもですね、僕、シャウトができないということに気づきまして。曲もなかなかそういう雰囲気のものがつくれないんですね。ただ、ポップな曲なら意外とつくれたんです。つまり、やりたいことと自分ができることのギャップに気がついて、L’luviaはポップなバンドに変わっていきました。お客さんが一緒に歌ってくれるのって、非常に楽しいんですよ。
――L’luviaのライブは楽しいと評判なので、11月が楽しみです。2日間の通し券が当選したので! マースケさんは、1997年に発売したシングル『夜空に輝く星を集めて』から、L’luviaに加入していますね。当時、ポップな曲調のヴィジュアル系バンドはなかなかいなかったという情報も目にするのですが、バンドの雰囲気を方向転換する怖さはありませんでしたか?
マースケ:かっこいい雰囲気でやっているバンドがたくさんいるなかで同じことをしても、売れるかわからないじゃないですか。なので、ポップな方向に舵を切ることに対して抵抗はありませんでした。その後、試行錯誤して、思いっきり振り切ってみようよとつくったのが、ミニアルバムの『LOVE&POP』です。なんだか変な自信がありました。売れるだろうなっていう。
――お〜〜、かっこいい! L’luviaの楽曲の魅力の一つはメロディーだと思いますが、ご本人としてはどうでしょうか?
KAORU:僕が高校生の頃って、ジュンスカとかユニコーンが人気の世代で。その2バンドはバンドだけどポップさも持ち合わせていて、特にメロディーが好きだったんですよね。あとはBUCK-TICKも好きで。自然と、自分がつくる曲もメロディアスになっていったのかなと思います。
.
――そういうことなんですね〜〜、納得!!
KAORU:中学生の時に『ベストヒットUSA』というテレビ番組があって、気になるものは全てレンタルして聴いていました。今振り返ると、どれもメロディーが印象的なアーティストを聴いていたと思います。それがL’luviaの楽曲にも出ているのかもしれません。
マースケ、KAORUへのリスペクトを初告白
――ところで、L’luviaの出身地である新潟はヴィジュアル系バンドって盛んだったんですか?
KAORU:ヴィジュアル系に限らず、自分たちの世代はバンドが流行っていたよね。マースケは、新潟のバンド界隈のボスみたいな存在で。金髪で腰まで髪があったんですよ。
マースケ:いやいやいや(笑)。
KAORU:マースケは、メタルのバンドをずっとやっていて。もう、ガッチガチのゴリゴリのメタラーでした。
マースケ:もういいから(笑)。1回ね、地元という縁もあってL’luviaのサポートに入ったことがあったんですけど、めちゃくちゃ難しくて。要は、L’luviaの楽曲って歌謡ポップ的な要素があるじゃないですか。弾いてみて初めて、このバンドすげえと思ったのを覚えています。その後、正式にバンドに加入して、シングル『SLEEPING PRINCESS~眠れる森の君~』のレコーディングに臨んだ時は、どういうベースのフレーズをつければいいか全然わかりませんでした。
――KAORUさんは、マースケさんが加入した時のことを覚えていますか?
KAORU:マースケの前のバンドが激しい曲調だったので、「SPECIAL I LOVE YOU」とか「ハッピー♡カムカム」とか、きっと嫌だろうなと思っていたんです。シングル『SLEEPING PRINCESS~眠れる森の君~』のMVでマースケは鳥に扮しているんですけど、実際、すっごい嫌そうに演じていました(笑)。
――マースケさん、どんなお気持ちだったのでしょう(笑)。
マースケ:やるしかない、と思っていました!(笑) 僕はKAORUくんのことを芸術家だと思っているので。自分では思いつかないフレーズだったり、曲のイメージを聞いた時にそう感じたんです。だから、それを一緒に形にしていくのは決して嫌ではありませんでしたよ。むしろ、楽しかったです。
KAORU:そうだったの? 活動している時に言ってよ、そういうことは(笑)。
マースケ:若い頃って、そういうの言いづらいし恥ずかしいじゃないですか。言い方をちょっと変えれば、リスペクトしているってことにもなるんで。当時は絶対、そんなこと言いたくなかった(笑)。でも、今は言えるようになりました。
「So Far Away」という大切な曲の存在
――ずっと気になっていたことがあるんですけど、ファンの名称である“ジュビっ子”、“ジュビラー”、“ジュビ野郎”って何が違うんですか?
KAORU:当時、中高生くらいの若いファンの子が多かったんです。だから、その子たちは“ジュビっ子”で、もう少しお姉さんたちが当時流行っていたアムラーを文字って“ジュビラー”。最後に、男性ファンが“ジュビ野郎”です。
――じゃあ、僕は“ジュビ野郎”になるわけですね! ずっと、“ジュビっ子”を自称していました。
マースケ:今度からは“ジュビ野郎”と名乗ってください!
――はい! では、そんな“ジュビ野郎”の気になっていることなんですが、KAORUさんとマースケさんにとっての、L’luviaの思い出深い曲を教えてください。
KAORU:なんだろうね。
マースケ:どの曲も、それぞれに思い入れはありますよ。ただ、バンドが一致団結したという点で印象深いのはシングルの『So Far Away』かなぁ。
――インディーズの時の『So Far Away』ですか?
マースケ:はい、メジャー盤ではなくてインディーズの頃のシングルです。その頃、バンド内の雰囲気があまり良くなかったんです。それで、周りの大人たちにも説教……じゃなくて、諭されて。
KAORU:すごいね、ちゃんとそういうことを全部覚えているんだね。
マースケ:覚えてるよ! そういう紆余曲折があったなかで「もう一回、4人で頑張ろう」とつくったのが『So Far Away』なので。あの曲の歌詞って、自分たちのことを歌っているんです。
――そうだったんですね! 「出口の無い迷路の中で ただ光を見つけたくて」の部分とかは、今までと違った風に聴こえてきそうです。……そうかそうか、だから「僕らの夢を乗せて So faraway」なんですね。メジャーの3rdシングルにもなっているので、大切な曲なのかな、とは想像していたんです。では、みなさん! 最後に「CROSS ROAD Fest」に来る人たちに向けて、メッセージをお願いします!
MORI:前回は「(L’luviaに)失礼します」という感覚でサポートさせてもらいましたが、今回は5人の気持ちがよりシンクロしているはずなので。みなさんにイベントを心から楽しんでもらえるようにと思っています。
マースケ:5人によるL’luviaの世界観を味わってください! みんなが笑顔になってくれるのが、僕は一番うれしいです。
KAORU:期待を裏切らないようにライブに向けて、しっかりと調整していきたいと思います。L’luviaはスペイン語で“雨”という意味。当日は会場に幸せの雨を降らせるつもりなので、みんなも“ジュビっ子”時代を思い出して、思いっきり楽しんでください。“約束”だよ。
▲インタビュー後の撮影では、MORIさんも(腕だけ)参加! 正面からの姿は「CROSS ROAD Fest」まで、楽しみに取っておこうぜ!!
YUTAKAが語る、L’luviaを「CROSS ROAD Fest」に誘った理由
1996年頃に、当時発売されたL’luviaのミニアルバム『Blanc Neige』を知り合いからもらったのが、L’luviaとの出会いでした。その後、L’luviaが所属していた事務所の後輩バンドであるLastierのヴォーカル・石山竜市を通じて、KAORUくんとマースケくんと出会います。
2018年の「Earliest Memories」に誘ったのは、シーンが彼らを求めていると思ったから。2人共、バンドマンなんでね。ステージから離れているのは知っていたけど、やりたい気持ちもどこかにあるはずと思ってのことでした。それが、今回の「CROSS ROAD Fest」の出演にもつながっています。
「CROSS ROAD Fest」の初日はスイトラ系で固まっていたので、じゃあ2日目は「Break Out」系で固めようと。そこで思い浮かんだのがL’luviaでした。L’luviaは「Break Out祭」で武道館のステージに立った経験もありますけど、今回も6000人という観客の前でのライブになります。6000人は、まあまあ手強い。
どんなステージを見せてくれるか楽しみです。そして、反響があればワンマンもやりたいなと密かに企んでいます。
ヴィジュアル博士のるが語る、L’luviaの魅力 〜ロックへの入り口を開いてくれたL’luviaという存在〜
私とL’luviaの出会い。それは中学生の時に出会った、アニメ『クレヨンしんちゃん』の主題歌でもあるメジャーデビューシングル『スキスキ♡マイガール』。
ではない。実は。
小学生の頃、私には宮田くんという友人がいた。彼は両親が共働きのいわゆる鍵っ子で、放課後に家に遊びに行っても両親がいることはほぼなく、大人の監視下に置かれることなく2人で自由にゲームをやったり漫画を読んだりすることが多かった。
そして何故かおやつはスナック菓子などではなく、ニュータッチのカップ麺だった。自分の親がカップ麺を食べないタイプの人種だったため自宅でカップ麺を食べることはなく、それ故に彼の家で親に内緒で食べるカップ麺のおいしさは正に背徳の味、そこは失楽園さながらの世界だった。
今思うとあれは彼の親の買い置きだったのだろうが、勝手に食べてよかったのだろうか。まあ、彼も「大丈夫!!」って言ってたしいいか。
本編とはまったく関係のないカップ麺の話はこれぐらいにしておいて、何故宮田くんの話をしたかというと、何を隠そう私とL’luviaとの出会いは彼の家でのことだった。彼には歳の離れた当時高校生の姉がおり、もちろん自分が遊びに行く時間帯は高校に行っているため家にいることはない。
そんな姉の持ち物の中にあり、宮田くんがこっそり聴かせてくれた1枚のCDこそが、L’luviaのアルバム『LOVE&POP』なのである。
当時まだヴィジュアル系という世界を知らなかった頃のこと。
「ハッピーカムカム♪ラブカムカム♪」と軽やかに歌うカオルさんの歌は、後に知ることになるDir en greyやPIERROTなどの濃いメイクを施した激しいヴィジュアル系バンドを知った時とはまた全然違うベクトルでの衝撃を与えてくれた。
もっともナチュラルなメイクと私服をカラフルにしたような衣装を身に纏うL’luviaが世間では”ヴィジュアル系バンド”に分類されていることを知るのは、この出来事から更に数年経った後の話だったが。
というか、そもそも『LOVE&POP』を初めて聴いた時点ではまだヴィジュアル系という世界自体を認識してはいなかったわけだが、今思えばそんな自分にとってのロックの入り口を開いてくれたのはL’luviaだったのかも。
そしてL’luviaのようなポップで楽しいバンドが私のヴィジュアル系の入り口に立っていてくれたことで、その後現れた色々なタイプのヴィジュアル系バンドをすんなり受け入れることができたのかも。今となってはそう思っていたりもする。そんな日々こそが私にとってのグローリーデイズだったわけだ。そういう意味ではL’luviaには非常に感謝しているのである。
そんなL’luviaのおすすめの楽曲としては、全曲聴いていただきたいのは承知の上で、敢えて4曲に絞って以下をお勧めしたい。
■「ハッピー♡カムカム」
冒頭で述べた、ミニアルバム『LOVE&POP』のリードトラックとも言える楽曲。当時のヴィジュアル系といえばロックバンド然とした、どちらかというと退廃さや硬派さを持ち合わせたバンドが多かったが、それらを薄めた代わりにポップさと可愛らしさを足したのがL’luvia。
この「ハッピー♡カムカム」や前述の「スキスキ♡マイガール」もそうだが、『タイトルがキャッチーで覚えやすい』というのは楽曲にとってのヒット曲の条件のようなもので、おそらくL’luviaをよく知らない人でも「ハッピー♡カムカム」という文字列は認識している、という人は少なくないことだろう。
数多く存在するヴィジュアル系バンドの曲の中で、今尚タイトルが人の心に残り続ける、というのは本当にすごいことなのである。
■「MY LOVE」
個人的な持論でもある、「6/8のバラード曲にハズレはない」という定説を裏付けてくれる楽曲のうちの一曲。
インディーズ時代のシングル『夜空に輝く星を集めて』のc/w、メジャー2ndシングル『LOVE TRAIN』のc/wにてそれぞれ聴くことができる他、アルバム『Feliz』では締めを飾る楽曲にもチョイスされている。
ポップで爽やかで、でもどこかほのかに切なくて。「MY LOVE」というシンプルなタイトルからも、L’luviaがストレートに愛を伝えようとしてくれているのがよく分かるだろう。伸びの良いサビのメロディーはふとした時に口ずさみたくなる、甘く清涼感のあるラブソングなのである。
■「So Far Away」
バンドでありながら大胆に4つ打ちのダンステイストを取り入れた楽曲。
ヴィジュアル系らしい切なさもありながらメジャー感も強い、おそらくL’luviaの楽曲の中ではトップレベルでとっつきやすい楽曲なのではないだろうか。初出は1998年のシングルだが、その後再録され、メジャー3rdシングルとして再びリリースされた所を見ると、ファンからの支持も高かったのだろう。
ヴィジュアル系の歴史はおろか、J-POP史の1ページとしても後世に語り継ぎたい名曲。
■「恋シテマスカ1999」
フルアルバム『ジュビアルバム』に収録されている楽曲で、これまたポップさとロックさを絶妙なバランスで混ぜ合わせた聴きやすく楽しい楽曲。本当にL’luviaのメンバーは良いメロディーメーカーが揃っている。
またタイトルに「1999」という年号がついていることで、この曲がリリースされたのが1999年だということをすぐに思い出すことのできる良タイトルなのだ。
「恋シテマスカ」だけでも充分にL’luviaっぽさは出ただろうが、そこに敢えて「1999」をつけてより響きの良いタイトルにする。先に述べた「ハッピー♡カムカム」の話と同様、人々の目を引く工夫が凝らされた、ノリの良さの裏に実は緻密な計算が隠されている、それがL’luviaの楽曲達なのだ。
2000年の活動休止後(※その後、正式に解散)、断片的に復活ライブを開催してくれているL’luviaだが、今回のCROSS ROAD Festのような大きいステージで観られる機会というのは今後何度あるだろうか。
そうなると、CROSS ROAD Festは絶対に見逃してはいけない日になると思っている。これを読んでくださった皆様、当日は是非とも会場でお会いしましょう。そして一緒にハッピー♡カムカムしましょう。
フリーアナウンサー・菊池優が語る、L’luviaの魅力 〜L’luviaの魅力は「心の足りないピースを埋める歌詞とメロディー」〜
私がL’luviaと出会ったのは小学6年生の時。
深夜に放送していたテレビ朝日の音楽番組「Break Out」を見て、ヴォーカル・KAORU氏の可愛いヴィジュアルに目を奪われたのがきっかけだった。
栃木に住んでいた私は、インディーズでそれまでに発売されていたCDを買いに原宿に行き、デビューが決まるとFCに入会し、イベントにライブに人生の「初めて」をL’luviaと過ごしてきた。
その頃中学生となり、思春期に学校での対人関係に悩むことが山ほどあった。その心の隙間を埋めてくれたのがL’luviaだった。
少しメルヘンだけどストレートな気持ちをぶつけてくる甘い曲と、中学生には背伸びをしたキラキラした大人の世界を見せてくれる曲。
特に「ハッピー♡カムカム」は口ずさみながらたくさんの勇気をもらった。ずっと感謝している曲。
99年のツアーで宇都宮のライブハウスに来ると知って、今だから告白しますが…平日だったので学校を仮病で早退し初ライブハウス。テレビやイベントで見るのとは違って、可愛いだけでなくゴリゴリのバンドサウンドも聴くことができて世界が広がった。
ジュビっ子それぞれの心の隙間をL’luviaが埋めているって単純にすごいなと思った。
<今回初めてL’luviaの曲を聴く方へのおススメ曲3選>
■「ハッピー♡カムカム」
辛い時・悲しい時に励ましてくれる大定番曲。ポップでキラキラしていて、嫌なことは全部ブラックホールに吸い込ませて輝く明日に向かえる元気がもらえる。当時はハッピーにかけて法被を着て歌っていた。
■「夏色の青春」
甘酸っぱい!聞いていた当時も「こんな気持ちになってみたい」と思っていたが、今聴いても「こんな青春を過ごしたかった」と思う永遠の青春ソング。メロディーラインが今にも走り出しそうなキラキラした青春感満載!
■「夜空に輝く星を集めて」
ライブでの王道曲!歌詞の表現やメロディーが少し切ないながらも、きっと幸せになれる予感が満載。最後は幸せになれるよ!というのと、ライブではまたL’luviaに会いに行くよ!というハッピーメッセージ曲。
どの曲も大好きで3曲に絞るのが大変だったが、まずは初めて聴く方に刺さるような曲を選んだ。
「CROSS ROAD Fest」でどの曲をやってくれるのか今から本当に楽しみだ。当日は黄色いポンポンは必要ですか?(※当時ライブで「SPECIAL I LOVE YOU」の時は黄色いポンポンを使っていて、ファンもミニポンポン持参だった)
L’luviaはもちろんだが、あの頃同じ青春をおくったジュビっ子のみんなと時を経て再会できることを心から楽しみにしている。L’luviaの曲に支えられて大人になった私たちを見てほしいと思う。
<「CROSS ROAD Fest」特設サイト>
https://crossroadfest.com
<X>
■L’luvia
https://x.com/from_nigata
■マースケ
https://x.com/bass_marsuke
■「素晴らしきかな、ヴィジュアル系」の他の記事を読む