編集者・石川裕二の超個人的サイト

FEATURE —特集—

庄村聡泰がRYTHEM『再愛』を語る!

<筆者プロフィール>
庄村聡泰(しょうむら・さとやす)
2010年に加入したバンド[Alexandros]を21年に勇退。その後は、“ショウムライター”と称してライティングを、“サトヤスタイリング”と称して著名人のスタイリングをするなど、個性と経験と持ち前のセンスを生かして活動中。ほかにも、音楽グループ「不楽足ル」のプロデューサーやファッションブランド「SNACK NGL」のディレクターを務めている。



優しい言葉とメロディの裏にあるもの

テレビアニメ『NARUTO-ナルト-』2代目エンディングテーマとして著名な『ハルモニア』や連続テレビ小説『てるてる家族』主題歌である『ブルースカイ・ブルー』。更にテレビアニメ『焼きたて!!ジャぱん』初代オープニングテーマとなった『ホウキ雲』 など、その類稀なるソングライティング能力とグルーヴィーかつテクニカルなハーモニーを持ち味として活動を続けてきた女性デュオ・RYTHEM。

2011年の解散より10年が経過した2021年5月21日、再始動の発表が本人達の口からアナウンスされ、当初は自身のYouTubeチャンネル「RYTHEMのハモり便」から届けられる自他問わず様々な楽曲を絶妙なハーモニーでカバーしていく生歌動画が中心となる活動であったが、遂に再始動後、初となる新曲『再愛』を2023年1月27日にリリース。

2003年当時、高校生ながらにしてのデビューと言うよりは更に前の中学生の頃より親友として、また音楽のパートナーとして2人で歩んだ年月、そしてボーカル・ピアノのYUIはNeat’s/新津由衣として、ボーカル・ギターのYUKAはyucat/加藤有加利としてそれぞれのソロキャリアを重ねた年月、それらが再びこうして“重なった2つの歪な○(まる)愛のカタチ”として届けられた。

上述の一節を含むサビのみならず、自分と他人の違い、昨今取り沙汰される事が増えた多様性と言う概念に内包される矛盾点などを認め、受け入れ、そして愛する事について綴られた歌詞がとにかく印象的、と言うよりは強烈であった。

一聴するに優しい言葉遣いとメロディながら、その実、“違いを受け入れ、愛する”と言う行為は時に葛藤や痛みを伴うものである事も示唆されており、その観点から改めて曲を聴き込むと、優しい言葉とメロディの裏には痛切な”生きにくさに対する叫び”が同時に鳴らされていると筆者は感じた。

こうして再始動を決断した2人の足跡を照らし合わせてみると、その思いはより一層強くなるばかりである。

様々な思いがあっての決断であろう2011年の解散、そして同様に様々な思いがあっての決断であろう今回の再始動。その様々に伴う葛藤や痛みすら愛の形として調和、即ちRYTHEMのデビュー曲である『ハルモニア』させる事(ハルモニアはギリシャ語で調和を意味する言葉)について書かれた曲に『再愛』と名付けたのだとしたら。

そう考えれば考える程に味わいを増す新曲。筆者は何度も繰り返し聴いた上で、慈しみや思いやりについて再考する事を楽しんでいる。

因みにお気付きの方も多いだろうが曲後半に配されたモノローグのラストは“ねぇ 聞こえますか”の一節で締め括られるのであるが、こちらが『ハルモニア』の歌い出し。これまた粋な采配である。


■RTTHEMのインタビュー記事を読む

RANKING —人気の記事—

DAILY
WEEKLY
MONTHLY
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5

CATEGORY

RELATED

PAGE TOP