飲み会が終わり、「じゃあ、次行こ。どうする~?」となったときに私が「公園で二次会しましょうよ!」と提案すると、「若いね~」「青春っぽい」と笑われる。「学生か!」と、お笑い芸人のようなツッコミを入れられることもある。結局はバーでしっぽり飲むか、カラオケに行くことになるのだが、私に言わせればカラオケのほうがよっぽど学生っぽい雰囲気だと思う。不服である。
昔から、夜の公園が好きだ。広くて、静かで、落ち着くのだ。中学・高校時代は、夕方以降も友人たちと家にいると親によく思われなかったので、しばしば夜の公園へと移動していた。都心のベッドタウンの一角にある比較的小規模な公園ではあるが、お金を掛けずに長時間滞在できるのが魅力的だった。
コーラやファンタなどの炭酸飲料を片手に、思春期らしく恋の話を筆頭にして、そのときハマっている漫画・ゲームの話など、たわいない話を夢中になって、たくさんした。暗く静まり返った小さな世界――まるで、この世には自分たちしかいないように感じたものだ。夜の公園は、日常と同じ景色にも関わらず非日常に思えて、妙な高揚感があった。
大学時代も友人たちと夜の公園で酒を飲んだりしていたが、社会人になってからはその機会がめっきり減った。上司にバーに連れて行ってもらったり、知らない場所への好奇心が優先したりというのがその理由だが、社会人になってからも夜の公園で時間を気にせず話したり、お酒を飲んだことが3回だけある。いずれも冒頭のようなやりとりがあったが、「いいね!」と言ってもらえて、とてもうれしかったのを覚えている。
コンビニで思い思いのお酒とつまみを買ったら、公園へ。月明かりのもと、各々がジャングルジムや滑り台などに腰掛け、将来のことやエロ話に花を咲かせる。ときに子どもの頃のように遊具で遊んだり、逆上がりをしてポケットの中身を地面にばらまいたりするのも悪くない。冬なら、コンビニでカップラーメンを買ってきて食べるのもいい。私は勢い余ってエロ本を買ってしまうこともある。男だけならその場は盛り上がるが、処分に困るのでオススメはしない。
今日のように夜風が心地いいと、好きな人たちと夜の公園に行きたくなる。これまで公園で過ごしたいくつもの夜は、あのとき見た夜空の星のように、私のなかで小さな光を放ち続けている。そういった記憶がどんどん増えていけばと思う。
<執筆=石川裕二>