——平日、江ノ島。(第1回 サンドロビッチ・ヤバ子)

|気の向くままにブラブラする

作家という仕事は、とかく作業場にこもりがちだ。
かくいう私も出版社での打ち合わせ等、
ごくごくわずかな用事を除けば、
自宅から半径1キロ圏内からは決して出ることのない日々を送っている。

そんな生活も元来出不精な筆者は決して嫌いではない
(むしろ気に入っている)のだが、
同じことを繰り返す毎日というのは創作活動にも影響を及ぼす。
そんなわけでサボり旅の企画を伺った時、
これ幸いと執筆者に立候補させていただいた次第である。

5月8日水曜日の昼下がり。天気は快晴。
小田急線新宿駅からいざ江ノ島へ向かう。
平日ということもあり、スーツ姿の乗客が目立つ。
彼らが労働に勤しむ中、
自分はサボり旅に出かけるのだと思うと、
一抹の背徳感を覚える。

電車に揺られること小一時間、
筆者は小田急線片瀬江ノ島駅へと降り立った。

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大学時代の4年間を神奈川県で過ごした筆者だが、江ノ島は初訪問である。
心地よい気温と潮風に自然と期待が膨らむ。
江ノ島弁天橋を渡り、いざ江ノ島へ。

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橋を渡ること約5分、あっという間に江の島に到着。

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前述した通り、筆者に江ノ島訪問経験はない。
予備知識も殆どない今回は、
“気の向くままにブラブラすること”が目的である。
実にサボり旅らしいテーマではなかろうか。

とりあえず腹ごしらえをしようと辺りを散策していると、こんな看板を発見。

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なんでもしらすを使ったハンバーガーを出している店とのこと。
物珍しさに釣られ入店してみることに。

注文したのはさつましらすバーガーセット(680円)。
釜揚げされたしらすとさつまあげにマヨネーズの風味が予想外に合う。
例えるなら和風のフィッシュバーガーといったところか。
海辺のオープンテラスという環境も相まってビールが欲しくなる味だ。

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腹ごしらえもすんだところで、弁財天仲見世通りを散策。
初めて訪れるにも関わらず、不思議な懐かしさを感じる。
立ち並ぶ店の雰囲気や人々の活気は、昭和の温泉街に通じるものがある。
最近めっきり感じることが少なくなった昭和の空気を堪能しながら通りを歩く。

平日というのにとにかく人が多い。
盛況の理由は、都心から僅か1時間で訪問できるという
アクセスの良さも関係しているのだろう。

のんびり歩いていると江島神社鳥居前に到達。

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|島の頂上へ

島の全景を見渡すために、
江ノ島シーキャンドル(展望台)へ向かうことにした。
有料のエスカー(エスカレーター)を使えば
体力に自信のない人も簡単に頂上まで到達できる(下りは歩きなので要注意)。

この日、風邪気味だった筆者は迷わずエスカーを利用することにした。
エスカー乗り場でチケットを購入し、展望台を目指す。

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エスカーは3区間に分かれており、
その間には宗像三女神を祀る辺津宮(へつみや)などの観光スポットがあるが、
目的地はあくまで展望台である。
参拝客でごった返す辺津宮を素通りし、頂上を目指す。

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地上のヨットハーパーを眺めながら一息つく。
まだ頂上まで登りきっていないにも関わらず、
随分高い所まで来てしまった気がする。

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室内から一歩も出ない日も珍しくない自分が、
こんなにも風光明媚(ふうこうめいび)な場所に居ることに少し可笑しさを感じる。

3区エスカーを上るとサムエルコッキング苑に到達する。

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コッキング苑&シーキャンドルでは
江ノ島フラワーフェスタ2013が開催中であった。
日頃、花とは無縁の生活をしている筆者は
ここぞとばかりに苑内を見学して回る。
色とりどりの花に視覚が癒されるようだ。
こんな機会でもなければ、
ゆっくり植物鑑賞をしようという気など起きなかっただろう。

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苑内を抜けると、目的地のシーキャンドルが目前に現れた。
チケットを渡し、いざ展望台2階部分へ。

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期待以上の絶景だった。
島内はおろか本土まで見渡せる。

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この日は天気が良かったため、富士山も見ることができた。
江ノ島から見る富士山もなかなか趣がある。

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一通り景色を眺めた後、展望台のさらに上の屋上展望台を目指してみることに。
が、屋上にはガラスがなく、手すりとネットのみ。

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高所が不得手な筆者に屋上行きを断念させるには十分な理由であった。
震える手で何とか地上の写真を撮る。

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格闘漫画の原作者という職業柄、
残酷な人体破壊描写には馴れっこの筆者であるが、
どうにも高い所だけは落ち着かない。
ただ、前述したとおり展望台から見る風景は最高であった。
高所が得意でない方はガラスで覆われた2階部分で
存分に景色を楽しんでもらいたい。


|新しい体験、新しい刺激

這う這うの体でシーキャンドルを後にし、
徒歩での下山を開始する。
下りということもあり体力的にも余裕がある。
10分ほどで江島神社鳥居前へと戻ってこられた。

再び仲見世通りを突っ切って弁天橋前へと戻る。
まだ滞在時間に余裕があったため、
ヨットハーパー方面の海岸線を散策することにした。

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仲見世通りが温泉街なら、この辺りは南国といった様相だ。
心なしか時の流れもゆったりとしている。

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これといった目的地もなくブラブラするには最適の環境である。
ふらりと入った店でしらすたこ焼きをつまみながら小休止。

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再び弁天橋前に戻る。今さらながら観光案内所を発見。
イラストマップを貰い本日訪問した場所を確認する。
江ノ島は筆者が想像していた以上に多くの観光スポットを擁していた。

江ノ島の奥は深い。

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最後に焼きはまぐりと焼きとうもろこしを購入。

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本来、超がつくほど少食の筆者が島内では3度も食事をした。
方々を歩き回ったせいか、
はたまたこの島の開放的な雰囲気が食欲にも作用したのか。
いずれにせよ海辺で味わうはまぐりととうもろこしは格別である。

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日も落ちてきたところで、後ろ髪を引かれつつ帰路へとつく。

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名物江ノ島丼は食べられなかったし、
江の島岩屋観光もできなかった。
訪れる前は小さな島と思っていたが、
実際に江ノ島に赴いてみると観光スポットの多さに驚いた。
わずか半日程度の滞在で島全体の魅力を堪能するのは困難に思う。

新たな体験には新たな刺激が伴う。
江ノ島という場所は、
常に刺激を取り入れていきたい作家にとっては、
サボりついでに閃きを得られる(かもしれない)という
実にありがたい島なのである。

都心から1時間、
相模湾に浮かぶ周囲4キロの小さな島は、魅力に満ちている。


kei
【執筆者】
sakushaUN_bigger

サンドロビッチ・ヤバ子
鳥取県出身。漫画原作者。Webコミックサイト「裏サンデー」(小学館)で連載中の『ケンガンアシュラ』の原作を務める。ほか、自身の作品に『求道の拳』など。

■『ケンガンアシュラ』(「裏サンデー」)
http://urasunday.com/kengan/index.html

■『求道の拳』
http://gudounokobushi.web.fc2.com/

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