埼玉県ゆるゆる全市郡ひとり旅1 ー坂戸市ー

2010年1月 第3週
ー坂戸市ー

埼玉県の全49市郡を巡る旅のスタートは坂戸市だ。

東武東上線「坂戸駅」は、同線「池袋駅」から45分ほど。
同市は、妻の伯母夫婦に結婚の挨拶をしに一度行ったことがあるが、
なにか印象に残っているか、と言われれば、特にない。

では、なぜ坂戸市に来たか。
めぼしいイベントがないかインターネットで調べていたところ、
永源寺というお寺で「だるま市」を行うとの情報が載っていたからだ。

私は「招き猫」や「福助」をはじめとした縁起物や民芸品が好きで、
旅行に行くと、その類の物は必ず買っている。
「だるま市」という単語を見た瞬間、これだ、と思ったのだ。

駅を出ると大きな看板があり、
「坂戸よさこい花のまち」と書いてある。
「よさこい」って、なんだっけ? 
なんとなく、お祭りっぽいイメージはあるが、よくわからない。

同じく駅前には「よさっち」という同市のマスコットキャラクターの像が立っている。
ドラえもんの頭に手と足が生えたようなデザインで、
絶妙なチープさがいかにも市のマスコットキャラという感じでかわいかった。




とりあえず、永源寺まで行こう。
そう思い、周りを見渡してみて、不安になった。

日曜日の駅前にも関わらず、誰一人として歩いていないのだ。
具体的に、なにに不安になったかというと、「なにもないんじゃないか」ということ。
なにもない、ということは、書くこともないということだからだ。

そんなことを考えていたら、ミスタードーナツとミニストップを発見。
知らない場所でも、馴染みのある店を発見すると、安心する。

目的地までは、徒歩で10分ほどだった。
大通りからは少し外れていたが、意外と大きいお寺で、
線香の匂いが香ってきたこともあり、迷わず到着できた。

だるま市はお寺の境内で行なわれていた。
だるまを売る露店が5つほどあるほかに、
焼きそばや焼きとうもろこしなどのお店も出ていて、
年配の人を中心に賑わっていた。

この日は、晴れてはいたものの風が強く、
道ゆく人は寒そうに身を縮こまらせている。
それでも、縁起物を売っているからか、なんとなく皆楽しそうだ。




だるまは5cmほどの小さいものから80cmはありそうな大きいものまであり、
色も赤以外に青や黄色・紫など、バリエーション豊かなだるまが
無造作に積み上げられていた。ちょっと異様な光景。

とりあえず、一通りだるまを見てみようと歩いていたら、
だるま売りのおじさんに声を掛けられた。

「お兄さん、一個買っていきなよ」

もともと、だるまを買う目的でここに来ていたので、
素直におじさんの露店のだるまを見る。
他のお店より、だるまのバリエーションは少なかったけど、ここで買うことにした。
いくつかの露店を見ていた中で声を掛けてきたのは、ここのおじさんだけ。
これもなにかの縁だと思ったのだ。

サイズとカラーが何種類かあったが、見慣れている赤色のだるまを購入した。
大きい物を買っても邪魔になるだけなので、一番小さいものを選んだ。

家に帰ったら、筆で右の目を入れて、
向こう一年間で良いことがあったら、左目も入れるのだという。

お寺で右目を入れてくれるらしいが、自分で入れることにした。
なんとなく、「自分で目を入れる」という行為も、
商品代に含まれている気がしたのだ。
他人にやってもらうのはもったいない。




……だるまを購入したは良いものの、
この時点で今回の旅の目的を果たしてしまった。

坂戸に到着してから、わずか20分。
これって、旅と言えるんだろうか。
少し悩んで、昼食をとることにした。旅にご飯は付き物だ。
永源寺に向かう途中に、美味しそうな定食屋さんがあった。
そこに行こう。

「キッチン けとる」という定食屋さんに入った。
一面が木による内装で、ペンションのよう。
店内は家族連れやカップルでほぼ満席。
地元の人たちに人気のお店なんだろう。

壁には「けとる 人気メニューBEST5」と書かれた紙が貼られており、
2番目に人気があるという「ガーリック丼」を注文した。
ハンバーグと鶏のソテー、サラダが乗った丼ぶりで、スープ付き。
安くてボリュームもあり、おいしかった。


昼食を食べたあとは、市内を流れる
「高麗川(こまがわ)」という川沿いを歩くことにした。
駅を降りた所にある観光案内の看板で川沿いの遊歩道が紹介されており、
とある場所から撮ったとされる夕日の写真がとてもキレイで、
それを見よう、と思ったのだ。

遊歩道沿いでは親子が凧揚げをしたり、おじさん達が釣りをしていたり、楽しそう。
高麗川は、澄んだ水面に太陽の光が黄金色に輝いていた。




一時間ほど歩き、設置されている道案内の看板を見たところ、
夕日がキレイに見える場所までは半分も歩いていないよう。
これまで歩いて来た道のりを思い出し、
これから歩くであろう距離を考えると気が遠くなる。

少し考えて、もう帰ることにした。
風がだんだんと冷たくなってきたし、歩き疲れてしまった。

これが他県への旅行であれば、意地でも目的地まで行ったかもしれないが、
この旅は埼玉県内ということもあり、わずかな時間と交通費しか掛かっていない。
見たくなったら、また来ればいいや、と思ったのである。
こういった気軽な旅が、埼玉のいいところなのかもしれない。

滞在時間は3時間とちょっと。楽しかった。

買っただるまは、右目を入れて早速部屋に飾ることにした。
来年、左目が入れられるといいな。
一年後の楽しみができた。



> 「第0回 はじめに」を読む
> 「第2回 鶴ヶ島市」を読む
> 企画TOPに戻る