埼玉県ゆるゆる全市郡ひとり旅0 ーはじめにー

2010年1月 第1週
ーはじめにー
 
「旅に出たい。
 名産品を食べ、温泉に入り、銘酒を味わう。
 街ゆく人を眺め、目に映る景色は写真に収めよう。
 そして、自由気ままにぷらぷらと歩くのだ。
 そうだ、旅に出よう——」

そんなことを思ったのが、昨年の暮れ。
年末年始の休暇に合わせて旅でもしたいなあ、と思っていた。
が、自分は全国各地を自由気ままに旅できるような
身分ではないことに気が付いた。理由は2つある。

まず、第一に、自分はしがない編集者・ライターであるということ。
この文章を書いているつい数時間前には、ファッション撮影の際に
立て替えていたスタジオ料金十数万円を踏み倒されそうになった。
いや、現在進行形でなっている。

第ニに、四月に父親になるということ。
お酒も飲めず、温泉にも入れない
身重な体の妻を置いて行くのは気が引ける。
しかし、旅には行きたい。

自分の中の天使と悪魔が、
なんやかんやと言い争っている。

じゃあ、どうすればいいのかと言われれば、単純明快である。
費用と時間のかかる遠場よりも、近場で済ませばいいのだ。
というわけで、埼玉県の全40市と9郡に行くことにした。

なぜ埼玉かと言われれば、私は出身も現在の居住地も
埼玉県という生粋の埼玉っ子だからだ。
友人たちと地元の話をする度に、
「何もない県、ダ埼玉」と笑われ続けてきたが、
それに反発する郷土愛も少なからずある。

旅の目的は特にない。
旅行に行く代わりのちょっとした気分転換になればいいのだ。
その中でなにか見つけることができたら、それも良いし、
別に無理してなにかを見つける必要もない。

風の向くまま、気の向くままにやればいい。
旅というのは、たぶん、そういうものだろう。



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